MEC食は必須栄養素である以下の4つを十分に摂るために、「誰でも簡単に覚えられて」「いつでもどこでも手に入り」「安い」をコンセプトに考えられています。
- たんぱく質
- 脂質
- ビタミン
- ミネラル
MEC食を実践すれば基本的に十分な栄養が摂れることは理解していますが、一方完璧なわけではないことも分かっています。
そのため、MEC食に何を組み合わせればより優れた栄養が摂れるのかが常々気になっていました。
それを理解していれば、MEC食に何を付け合わせるか、どんな調理をするか、どんな肉を選ぶかなどさらなる工夫点も見えてくるはず。MEC食がきちんと実践できている人の更なるステップアップにもなると思います。
それでは、今回はMEC食のベース量で足りない栄養素は何なのか考えていきたいと思います。
何を「十分な栄養」とするか
何をもって「十分な栄養を摂れている」と判断するかは非常に難しいテーマです。性別や体格、体質など様々な個人差があるからです。
ここでは理想的な栄養摂取量の根拠として、厚生労働省の2015年「日本人の食事摂取基準」を使いたいと思います。このデータをもとにMEC食も考案されています。このデータが100%確実な正解という訳ではないでしょうが、基準自体の是非を考えるのはまた別の話。
食事に含まれる栄養成分のデータは、文部科学省の「食品成分データベース」が便利。何を食べれば「食事摂取基準」を満足できるか考えていくのには、これらのデータを組み合わせるのがよさそうですね。
MEC食として食べるもの
MEC食のベースとなる摂取量、最低限の必要量は以下とされています。
肉(Meat) | 200g |
卵(Egg) | 180g(3個) |
チーズ(Cheese) | 120g |
データ引用元: 講談社 日本人だからこそ「ご飯」を食べるな
MEC食提唱者の渡辺信幸先生は、MEC食の実践方法として「ビタミンC補充のための野菜を少量プラス」するように補足されていますから、1回の食事で食べやすいサイズのブロッコリー6個(60g)程度を毎食食べる想定で、ゆでブロッコリー180g分をベース量に付加します。
MEC食は、MEC以外を食べてはいけない食事法ではありません。MECを優先的にしっかり食べることが大事です。MECに付け合わせる食材にはどんなものを選べば良いかを考えるためにも、足りない栄養素を見ていきたいと思います。
MEC食に足りない栄養素
脂質・ビタミン・ミネラルの3つのカテゴリにMEC食では足りない栄養素が存在しています。それぞれ何がどの程度足りないのかは、次の各項目で詳しく見ていきます。
一方たんぱく質についてはMEC食が一番配慮しているポイントということもあり、たんぱく質には摂取量も質(プロテインスコア)も特に課題はないと考えています。そのため、本記事では割愛することにしました。
脂質
脂質の量は十分に摂れるMEC食。しかしその質には課題があるようです。
その課題は渡辺信幸先生も認識されていて、著書においてもオメガ3脂肪酸を含む脂質を摂ることを勧められています。
オメガ3脂肪酸とは脂質の成分の一つで、現代の日本人に不足している脂質の一つとされています。よく聞くDHAもこのオメガ3脂肪酸のひとつです。
もう一つの脂肪酸「オメガ6」の酸化作用と「オメガ3」の抗酸化作用のバランスが取れていることが大事と言われていますが、オメガ3が圧倒的に足りないのが現状です。
オメガ3脂肪酸は魚の脂や牧草で飼育された牛肉などに多く含まれていますが、価格を考えると魚から摂るのが妥当です。対策を含む詳細は以下の記事に書いています。
ビタミン
ビタミンもその多くはMEC食でカバーできます。ビタミンと言えば野菜のイメージがありますが、ビタミンAやBなど、動物性のものから摂れるものがむしろ多いです。
足りないのは以下の3つのビタミンです。
- ビタミンA
- ビタミンB6
- ビタミンD
実はこれらも肉から摂ることができるのですが、問題はその部位。レバーに多く含まれているんです。
まだ「野生」であった頃の人類は、狩った獲物は内臓や血に至るまで大事に食べていたことと思います。当時と同じような食事を現代でも実践できたならば、これらのビタミンは不足しにくいはずです。肉食自体が悪いわけではありません。
ビタミンDも日光に当たれば、体内で生成することができ補完できます。当時の生活ならばビタミンD不足は起きていなかったと思います。
現代で同じ生活をするのは難しい面もありますから、肉以外の食べ物も加えるなど工夫が必要です。具体的には、レバーをなるべく取り入れることを基本として、内臓まで食べられる魚介食もたまには取り入れ、日光にもある程度当たるようにすればビタミン不足はカバーをできるのではないかと考えています。
詳細な分析は以下記事を見てみてください。
ミネラル
ミネラルにはパッと見多くの課題があります。以下が足りないもの5種です。
- ナトリウム
- カリウム
- 鉄
- 銅
- マグネシウム
チーズによって不足しがちなカルシウムはしっかり摂れています。しかしながら、ナトリウムやカリウムはカルシウムよりも大事なミネラルだったりしますし、鉄不足は女性に多い悩みでもありますから、これらの不足するミネラルを放っておくのも心配です。
また、糖質制限をしているとマグネシウム不足に陥る方も多いです。私もその一人です(笑)。
しかしこれらミネラルの多くは、調味料に使う塩を変えてみたり、ナッツ類やイモ類、アボカドなどの植物性のものを付け合わせていくことでカバーできます。鉄不足には、ビタミンの補填にも効果があるレバーを使うと一石二鳥ですね。
魚介類はここでも補填に役に立ちます。どうやら、たまの魚介はMEC食をより完璧なものにするのに一役買ってくれそうですね。
これまた詳細は以下のページへ書きました。心当たりがある方はどうぞ。
まとめ
今回はMEC食のベース量が栄養摂取基準をどの程度満たすか、データと照らし合わせながら検証してきました。
不足するビタミンやミネラルは、レバーやナッツ、アボカドでカバーできそうだという目処も立ちました。
もともと人類が食べていた植物性の食べものは、サラダのような野菜ではなく、木の実に近いものであったと聞きます。ナッツやアボカドが必要な栄養素を補えるのも、人類の元々の食性に由来しているんでしょうね。
健康的な食生活のカギは、太古の人類の食生活が握っているのかもしれませんね。
では!